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癌(がん)が治った、癌(がん)が良くなった、癌(がん)が回復した体験談情報
遊佐の佐藤さんが手記出版

2009年06月29日

美容サロンに立ち続ける佐藤由美さん=遊佐町直世

出版される『余命ゼロを生きる』。「大好きな仕事場で最期まで働きたい」と帯にうたった

∞美容師の毎日闘病支え 顔のがん告知5年

 顔など4カ所のがんと闘いながら美容師として働き続ける遊佐町直世の佐藤由美さん(47)の手記が本になり、29日に出版される。がんの告知から5年。闘病と転移で「治療法はないに等しい」とされたが、「心は病人になりたくない」と、痛み止めを服用して美容サロンに立ち続ける。(柳沼広幸)

 本のタイトルは『余命ゼロを生きる』(WAVE出版、176ページで税別1400円)。全国の書店に並ぶ。

 佐藤さんは遊佐高校を卒業し、東京やニューヨークの美容室で働いたが、家族の看病や祖母の介護で帰郷。みとった後、妹とめいと暮らしていくため、実家の車庫を改装して念願の美容サロン「ヘアメーク DEAR」を02年10月に開店した。40歳の時だ。

●夢実現の2年後

 暗転したのは2年後。その前から鼻炎で酒田市内に通院していたが、手術しても治らず、レーザー治療では出血が止まらなくなった。山形大医学部付属病院で検査したところ腫瘍(しゅ・よう)が見つかったため、手術を受けると術後、主治医にこう告げられた。

 「悪性でした。腫瘍はとても大きくなっていて目のふちまで広がっていました。今後は、体力の続く限り、抗がん剤治療、放射線治療、動脈注射を考えています」。病名は「腺様(せん・よう)のう胞がん」。04年10月、突然のがん告知だった。

 がんとの闘いが始まった。

 「女性の命」である顔のがん。美にかかわる仕事をしており、放射線治療でやけどの跡を残したくない。化学療法の動脈注射。あまりの痛さに挫折したこともある。髪の毛が抜け、体重は減った。

●洗髪は心の会話

 入院中も「心は病人になりたくない」と、店からシャンプー剤を持ってきて同室の患者や医師、看護師の洗髪をした。シャンプーを通じて心の会話ができるのだという。

 右ほおの手術を受け、05年1月に退院。自分のサロンで仕事に復帰し、ニューヨーク時代の知人を訪ねたりもできた。だがその後、首、肺、目への転移が判明。医者に「この先、失明や脳障害が起きてくるでしょう」と言われている。

 今は週2回、酒田市の日本海総合病院の緩和ケアに通って痛みを抑えている。

 体調が悪い時もあるが、サロンにいると不思議と気分がいいという。「来てくれた人たちを元気にしてあげたい。リフレッシュして帰っていただきたい。美容師でよかった。人に必要とされる仕事をしていることが支えです」

| 腺様のう胞がんが治った体験談 | |