咽頭がんの早期症状
「鼻・のどのがんの 初期症状と治療」
50〜70歳代に多く発生 長年の喫煙、飲酒が要因に 藤田保健衛生大耳鼻咽喉科 桜井一生教授
愛知県医師会主催の健康教育講座で、藤田保健衛生大耳鼻咽喉(いんこう)科の桜井一生教授=写真=が「鼻・のどのがんの初期症状と治療」と題して講演した。講演要旨は次の通り。
耳鼻咽喉科領域にできるがんは頭頸(とうけい)部がんと呼ばれています。頭頸部がんには、上顎(じょうがく)がん、咽頭(いんとう)がん、舌がん、喉頭(こうとう)がんなどがありますが、発生頻度はそれほど多くなく、すべてのがんの約5%前後といわれています。
頭頸部がんの中では、喉頭がんが約40%と最も多く、次いで舌がんを含む口腔(こうくう)がん、下咽頭がん、中咽頭がんとなっています。
上顎がんは、副鼻腔(ふくびくう)の一つである上顎洞から発生する鼻のがんの代表的な疾患です。50歳代〜70歳代に多く発生し、男女比は3対2で、男性に多い。
症状は鼻づまり、鼻水、鼻出血など鼻の症状以外には、歯の痛みや歯が浮いた感じ、頬(ほほ)の痛み、腫れ、目の奥の痛み、物が二重に見えるといった様々な症状があります。
上顎がんの治療は、抗がん剤による化学療法、放射線治療、手術療法を組み合わせて行われます。
効果の高い治療は、動脈から抗がん剤を投与する動注療法。放射線治療との併用療法で、拡大手術を回避できるので機能と形態の温存が期待され、5年生存率は50%〜60%です。
中咽頭がん、下咽頭がんは、50歳代〜70歳代の男性に多くできるがん。がん発生の要因としては、飲酒や喫煙などの慢性刺激が主で、特に、長年の喫煙歴や飲酒歴のある人は注意が必要です。
初期症状は、のどの異物感やつかえ感などで、がんが進行すると、嚥下(えんげ)困難、咽頭痛、嚥下痛、頸部リンパ節の腫れなどが現れます。
治療は、早期の段階であれば抗がん剤による化学療法と放射線治療が行われますが、進行がんでは、手術療法が中心になります。特に、下咽頭がんの場合は、進行がんのケースが多く、手術で喉頭の摘出を余儀なくされることも少なくない。
5年生存率は、中咽頭がんが早期で70%〜80%、進行がんだと50%〜60%。下咽頭がんでは早期70%〜80%、進行がん40%〜50%。
いずれにしても早期の段階で発見し、早期治療を受けることが予後の良いことは確かなので、普段と違った症状があれば耳鼻咽喉科に受診し、異常があるかを確認することが大切です。
2007年6月26日 読売新聞
50〜70歳代に多く発生 長年の喫煙、飲酒が要因に 藤田保健衛生大耳鼻咽喉科 桜井一生教授
愛知県医師会主催の健康教育講座で、藤田保健衛生大耳鼻咽喉(いんこう)科の桜井一生教授=写真=が「鼻・のどのがんの初期症状と治療」と題して講演した。講演要旨は次の通り。
耳鼻咽喉科領域にできるがんは頭頸(とうけい)部がんと呼ばれています。頭頸部がんには、上顎(じょうがく)がん、咽頭(いんとう)がん、舌がん、喉頭(こうとう)がんなどがありますが、発生頻度はそれほど多くなく、すべてのがんの約5%前後といわれています。
頭頸部がんの中では、喉頭がんが約40%と最も多く、次いで舌がんを含む口腔(こうくう)がん、下咽頭がん、中咽頭がんとなっています。
上顎がんは、副鼻腔(ふくびくう)の一つである上顎洞から発生する鼻のがんの代表的な疾患です。50歳代〜70歳代に多く発生し、男女比は3対2で、男性に多い。
症状は鼻づまり、鼻水、鼻出血など鼻の症状以外には、歯の痛みや歯が浮いた感じ、頬(ほほ)の痛み、腫れ、目の奥の痛み、物が二重に見えるといった様々な症状があります。
上顎がんの治療は、抗がん剤による化学療法、放射線治療、手術療法を組み合わせて行われます。
効果の高い治療は、動脈から抗がん剤を投与する動注療法。放射線治療との併用療法で、拡大手術を回避できるので機能と形態の温存が期待され、5年生存率は50%〜60%です。
中咽頭がん、下咽頭がんは、50歳代〜70歳代の男性に多くできるがん。がん発生の要因としては、飲酒や喫煙などの慢性刺激が主で、特に、長年の喫煙歴や飲酒歴のある人は注意が必要です。
初期症状は、のどの異物感やつかえ感などで、がんが進行すると、嚥下(えんげ)困難、咽頭痛、嚥下痛、頸部リンパ節の腫れなどが現れます。
治療は、早期の段階であれば抗がん剤による化学療法と放射線治療が行われますが、進行がんでは、手術療法が中心になります。特に、下咽頭がんの場合は、進行がんのケースが多く、手術で喉頭の摘出を余儀なくされることも少なくない。
5年生存率は、中咽頭がんが早期で70%〜80%、進行がんだと50%〜60%。下咽頭がんでは早期70%〜80%、進行がん40%〜50%。
いずれにしても早期の段階で発見し、早期治療を受けることが予後の良いことは確かなので、普段と違った症状があれば耳鼻咽喉科に受診し、異常があるかを確認することが大切です。
2007年6月26日 読売新聞
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